オレニハカンガエテイルコトガアル
ポツリと父がつぶやく

直前 何があったのだったか
家に帰ろうとした?

ベッドに起き上がろうとする父は
すでに抗う力を持たず
抑えられるまま
静かに横になり目をつぶったのではなかったか

病室にだれがいるともわからぬままに
スンマセンなぁ、とだけ。
もう息子の顔も忘れてしまった

そして諦めて横を向く

つぶやくのはそんな時だ
オレニハカンガエテイルコトガアル

早く良くなって帰ろうな
(たぶん家にはもう帰れない)

オレニハカンガエテイルコトガアル

乾ききった父の目に何がにじむ

2016/01/22 『詩人会議』じゆうの広場に投稿
2016、5月号に掲載